【第24講座】士業の為の営業処方箋 【第3章】


2013年11月24日 (日) HIRO_74asdaf5

次にカネについて考えてみたいと思います。

士業は、とかく投資対効果という考え方が弱い様に感じられます。筆者はサラリーマンとしてビジネスを遂行し、意思決定という所に携わっていたので当然のように捉えている概念なのですが、実業経験が殆ど無い、あるいは意思決定に関わるポジションに居なかった方には確かにわかりにくいと思います。

筆者が持っている中小企業診断士や社会保険労務士・行政書士などの比較的難易度の低い士業の場合、ビジネスマンのバックグラウンドを持って独立している方がほとんどだと思いますが、とは言えビジネスの意思決定の場に立てる立場に付かれていた方は極めて少ないでしょう。

いわんや弁護士・会計士・税理士・司法書士・弁理士などの人生を賭して取るようなハイグレードな資格のホルダーは、ビジネス経験が無いか、あるいは極めて少ないケースが多いため、中々商売の概念を身をもって体験されているケースが少ない様です。
特に弁護士は、元々法の元に広告宣伝を規制されていたわけですから当然といえば当然です。

ビジネス上の意思決定の多くは、投資判断です。投資がないと効果は得られないという基本的な考え方に基づいて企業は活動しています。この点が、士業の営業活動において欠如しているケースが多いように感じます。

では士業はどういうお金の使い方が良いのでしょうか?

ここではA(attention)について論じていますので、自分を露出するためにどこにお金を使うかという点になります。メディアミックスのくだりで述べた、ペイドメディア・オウンドメディアと同様の概念ですね。

一般的な企業における宣伝活動では、様々な手段を使って自社を知ってもらう努力をします。

例えば、会社案内、カタログなどの印刷メディア、WEB・PPC広告宣伝などのデジタルメディア、当然マスメディアなども入るでしょう。様々なマーケティング的な媒体で自社の存在を知らしめ、サービスを知らしめ、如何に他社に比べ自社が優れた売り物を持っているかを知らせます。
自らがユニークな存在であり、オリジナルな売り物を持っていて、お客様の困り事を解決し、ニーズを満たすことが出来るかを喧伝するのが一般的です。
そのための投資がいわば販売費という形で経費計上されています。

士業の場合いかがでしょうか?ナレッジワーカーである以上、知識を得るためのセミナーや書籍などに対しての投資は当たり前ですが、宣伝活動への投下金額はどの程度でしょうか?

会社案内やカタログにはお金をかけていますか?WEBやPPC広告にはお金をかけていますか?この点が士業の盲点であるケースが多いと感じています。

士業になるためには、資格取得の段階で多額の資金を必要とするケースも有り、資格取得後はまず投資回収が先に立つという考え方で進めていく人が多いように感じています。

また、自宅でもパソコンひとつで独立可能であるため、設備等への初期投資や借入金が必要でないということから、投資という感覚がいまいちつかめていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

一般的なサービス業は売上高の15~20%程度は広告宣伝費に使っているというデータが有ります。一般企業を引き合いに出すのは必ずしも適切であるとは思いませんが、士業も広く捉えるとサービス業ですから一つの参考になるとは思います。売上高が1000万円の場合、150万円~200万円程度は広告宣伝費として計上するということになりますね。

果たして、士業の事務所で15%~20%を広告に使っているというケースはどれくらいあるでしょうか?この概念を理解し、実践できるかで生き残れるか否かが決まってくるように思うのです。私の仮説では15%~20%を使っている士業事務所はほとんど無いように感じています。

まずは、この点をよく考え集客や営業活動に対し、希望する売り上げの内の一定の金額を使い、集客や営業活動への投資を図らねばならないということになります。

ただ、もう一つ確実に考えなければならないのは、投資に対応する効果の概念です。投資に対する効果は、当たり前ですが確実に上げていかなければなりません。

そのためには、自社のプログラムを明確にし、そのプログラムを発注してもらった場合にいくらの粗利益が上がるかを明確に試算する必要があります。その上で、投資をいくらまで許容できるかをきちんと考えておかなければならないということです。

ホームページやSEOなどにお金を突っ込むことは、間違いなく正しい投資スタンスではあると思います。ただ、世の中にあるサービスの価格はピンきりですから、きちんと投資対効果を試算せずに投資判断を行わないほうが懸命です。

ホームページやSEOなどの業者の中には効果に比べ、非常に高額なサービスを販売しているところもありますので、きちんと投資回収ができる顧客数とサービスプログラムの金額を試算した上で適切な投資判断をしたいものです。高額なホームページを作ったは良いけれども、ほとんど効果が出ないというお話は私の周りでもよく聞きます。得られる効果を明確に試算していない投資は、投資ではなく投機ですからね。

しかしながら、未来のことは完全に予測できません。そこが投資判断の最も難しい点です。従って、様々なサービスを投資予算の中で仮説検証をしていく必要があります。

例えば、広告を打つのに最も必要な考え方は、ターゲットセグメンテーションです。すなわち、どこに住んでいる、どのような立場の、どのような年齢の、どのような困り事を抱えている人があなたのサービスを必要としているかということになります。そして、そのターゲットがどのようなシーンで、どのようなツールを使って、士業を探すかについてのシナリオを具体的かつ徹底的に模索することが大事なのです。

その上で、ホームページ、ブログ、メルマガ、SNS、FAX-DM、チラシ、郵送DM、異業種交流会、イベント出店などのツールを利用して仮説検証し、どのツールが自らの目指すターゲットに対して最も投資効果を得られるのかを突き止める必要があります。

建設業を顧客にする場合とIT産業を顧客にする場合では、露出手段は全く異なるのは言うまでもありません。

単に、何でもかんでもカネを使えばいいというものではありません。この点だけは間違えないようにしたいものです。従来までの蓄財から、士業向けサービスにどんどんお金を注ぎ込み、完全にカモにされている状態の士業も多くいると聞きます。必ず効果について明確なビジョンを持ち、その効果が得られる可能性を強く感じるものにのみ投資を行っていきましょう。

結論として、集客や営業に対して投資を行うという概念をきちんと持ち、売り上げの一定規模で投資を行いながらも、その効果について必ず投資規模と比べ何倍得られているのかをデータトラッキングしながら、トライアンドエラーを繰り返していく必要があるということです。

ビジネスにはリスクはつきものです。投資という行為は不確実な未来に対してお金を使うという意味で立派なリスクと言えます。ただ、リスクのない所にリターンはありません。逆に言うとビジネスとしての成長と成功にはリスクを背負う必要があるということです。

これは、ローリスクの銀行預金ではリターンが殆ど無く、リスクの大きな投資商品の方が大きなリターンを手に入れられるという資産運用時の理屈と全く同じことです。

従って、ビジネスの現場において、経営者や決裁者は許容範囲を考えつつリスクテイクについての意思決定を行っているのです。

士業には二つの側面があると思います。

一つは今申し上げたビジネス、特にサービス業の側面。もう一つは、国の許認可を得て各監督省庁の業務委託を受けている存在という側面です。

従来、多くの士業は後者の存在として業務をこなして来たことと筆者は捉えています。その場合、委託業務に配賦される予算を分母とすると、分子となる士業の数で割った金額が各々の平均所得になります。士業の数が増えれば、間違いなく平均所得は減少します。当たり前ですね。

分母が限られている中で頭ひとつ抜き出るには、士業をサービス業で捉えることが出来るかどうかという点、リスクを取ってリターンを得に行けるかどうかという点が最も重要といえるでしょう。

ローリスクで独立できる点が士業の特徴ではありました。しかし時代はローリスクを許してくれはなさそうです。リスクに対して恐れることなく、トライアンドエラーを行いながらコントロールし、リターンを取りに行くしか残念ながら生きていく方法はなさそうです。

投資なきところに効果は得られないことを肝に銘じ、その時々に必要且つ有効な投資アクションを取って行くしかありませんね。

第4章に続く】

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