【ディープラーニングG検定】 文系諸氏が最小限の労力でただ受かるためだけの方法


2020年07月26日 (日)

文系人材の不安な気持ち

微分や統計などの勉強を、人生の早い段階のどこかに置き去りにしてきた文系諸氏の焦り、分かります。このところ技術の進歩が、ものづくり隆盛の時代(20世紀最後)以上に早いこともあり、理系人材がかつて以上にもてはやされていますよね。システムエンジニアのみならず、データサイエンティストやデータアナリストなどの職業も現れ、文系の仕事と言われたマーケティングや販売、企画の中にもどんどん理系的要素が必要になってきました。

マーケティング一つとっても、最近はOMO(Online Merges with Offline)という新たな考え方が生まれ、オンラインとオフラインが融合し始めています。オフラインでの顧客情報がオンラインと同一のIDによって管理され、購買データのみならず実店舗内の回遊データなど、購買に至るまでの挙動すべてが顧客情報として蓄積されています。

例えば、最近だとスーパーでの店舗内の回遊情報はAIでの顔認識技術により個人が特定可能です。私たちがどこの棚で立ち止まり、商品を手に取ったのか、あるいは戻したのかなどの情報もつぶさにマーケティングデータとして蓄積されています。もちろん、ECサイトなどでの購買情報もそこにリンクされており、オンライン・オフラインでのパーソナルな購買行動がすべてデータ化されていると考えられます。

オンラインマーケティングが市民権を得てからまだそれほど時間がたっていないのに、すでにそれを包括し、オフラインまで飲み込んだ上位概念が生まれてきているのです。そして収集したデータを取り扱うのは、もちろん理系学問のデータサイエンスです。

オンラインがシステム系の話で進むのは当然でしょうが、まさかオフラインの世界までが理系分野になろうとは…と、この文章を買いている私でさえ思います。オフラインって、まだまだ、コミュニケーションと心理学でしょうと思っていたのに。。。

しかも、時代は少子高齢化に突き進み、60歳定年制度はもはや風前の灯、60歳は単なる一つの転職タイミングへと変化しつつあります。元部下の部下になるのが嫌だから転職しちゃえってくらいの位置づけになってきていますね。しかし、働く時間は長くなるのに、世の中の構造変化が激しすぎて、ついていけない。学生時代の勉強内容なんて全然覚えていないし、コミュ力だけで乗り切ってきた自分の居場所はなくなっていくのではないか?と焦りますよね。

正直言いましょう。私もめちゃくちゃ焦っています。

MBAや中小企業診断士の勉強、そして企業人としての経験の中で、様々な理論武装をしてきたのですが、知識の陳腐化の早いこと早いこと。焦りしかありません。その焦りの一つの表れがG検定の受験です。なんとか最新のビジネス環境に適合しようと精一杯もがいている感じですね。ノリと勢いで営業マンやってきた私も、そろそろDX(デジタルトランスフォーメーション)せねば!

だから、みんなで焦りましょう。道連れです。(笑)

G検定受験に際して考えたこと

私は新たな領域にチャレンジする場合、一旦資格なり経験なりで希望する世界に入りこんで、その中で学ぶのが最も習熟が早いと考えています。なので今回もとりあえず検定に合格して、その世界の中に足を踏み入れることからスタートしようと考えました。なので、本質的な理解をするより、まずはテクニカルに手っ取り早く受かってしまう方法をあれこれ考えて実践し、ひとまずは成功しました。今もAIの本質的な理解を出来ている自信は全くありません。

本質的な理解なく資格に受かることに何の意味があるのかとお考えになる方もいるでしょう。それは人の好みの問題なので特に説得しようとは思いませんが、まずは何か肩書を背負ってから自分のポジションを確立していく方が、私個人の好みに合っているから、まずは四の五の言わず受かる。そして肩書のある人しか入れない場所に出入りをすることで学びを加速させる。そちらの方が合理的だと考えているのですが、いかがでしょうか?

G検定の難点

多くの資格試験がそうであるように、用語とその概念を覚えてしまえば合格ラインは見えてきます。G検定もさして変わりは有りません。ただ、厄介なのがITの用語知識が使えるのかと思いきや、あまり使えません。別物の用語が多いです。あえて言うならnVIDIAのGPUとPythonのライブラリが出てきた時くらいですね、あ、それ知ってる!と思えたのは。ちなみに私はITパスポートくらいであれば無勉強で通る程度の知識はあるのですが。技術により出来る事と出来ない事を噛みしめながら、用語をある程度覚える必要があります。

そしてもう一つ困ったことは、技術の中身が可視化できない抽象的な概念である点です。具体的なモノがないので、本当にイメージがしにくい。「人間のニューロンを模したニューラルネットワークの考え方から作られた」と言われても、ニューロン見たことねーし!とか、「入力層と隠れ層と出力層」と言われても、隠れ層だけじゃなくて入力層と出力層も可視化できないし!とか、「畳み込み層」とか言われても実際に布団みたいに畳んでるところ見えねーし!なわけです。概念の説明じゃなくて具体的なモノ持ってこいやーと思うわけですよ。エンジニアの方が書いた本は、申し訳ないですが例え話が上手じゃない。延々と概念と論理の説明が続くのですが、適切な例えが入っていないので、具体的な姿がさっぱりイメージできないということが多いです。ここが一番苦しみました。

ただ、繰り返しになりますが、具体的なイメージできなくても用語を覚えてしまえば合格ラインは見えてきます。

具体的な勉強法

まず2回通りくらいは下記の公式テキスト(白本)に目を通してください。

残念ながらこの本、抽象的な概念に踏み込んだ解説がなく正直わかりにくいです。複数の著者で書いていることもあって、同じ単語でも章が違うと表記の仕方が違ったりします。練習問題は試験には全く出ませんし。申し訳ありませんが、正直あまり良い本ではありません。なので、流れをざっくりつかむことと、用語が試験シラバスのどのシーンで使われているのかを大きくとらえる程度の使い方でよいです。一応公式テキストなので、AIについて今までほとんど触れたことが無い方は、まず「AIとは」を知るのに飛ばすわけには行けない書籍です。

 

そしてこちらの黒本に入りましょう。

2回転くらい問題を見て答えの解説を読めばよいと思います。こちらの書籍の解説の方が公式テキストよりもまだ具体例が多くわかりやすいので、苦にならずに読み込めると思います。問題集ですから刺激もありますしね。ただ、この問題集からも、テスト当日にはあまり類似問題が出ません。

あと数学は捨てて良いです。後述しますが、微分や代数の計算式が分からない以前に、計算している時間がありません。

その上で、余裕があればAI白書でしょうか。

ものすごく巨大な本なので、精読はおススメしませんが、こちらもざっくりと理解する必要があるので、最近のAI業界の変化と各種規制について押さえておけばよいとでしょう。どこに何が書いてあるかをアジェンダレベルで確認し、流れを確認する程度で良いですね。グローバルな規制やビジネストレンドなどが今回の試験で数多く出ましたので、サラッとチェックをしておくと良いと思います。これは難しい数式などではないので、読み物として楽しめると思います。

ここでの注意点は、Kindle等の電子書籍でお買い上げください。一番良いのは書籍で買って、スキャナとギロチンで自炊でPDF化することです。理由は後述します。

他の書籍は見ていませんが、必要ないと思います。WEBに必要な情報はほとんど落ちています。

受かる為だけの勉強のやり方

ここからがG検定に合格するだけの対策になります。繰り返し是非はご自身で判断してください。

まず前提としてG検定は、受験会場ではなく自宅のPCで受験するスタイルです。従って検索エンジンや書籍の参照が可能となっています。受験の合否にはこの検索のコントロールが最重要ポイント。間違いない。自宅受験対策としての検索力がすべてを決めると言っても過言ではありません。

だいたいの用語はGoogle先生にお伺いを立てれば正解を教えてくれるものです。なので、全部を記憶しておく必要はありません。全体の流れを把握しておけば、頻出単語以外はうろ覚えでOK。とにかく検索で答えに辿り着ければ良いわけですから、受験対策ならぬ検索対策の方が単語丸暗記よりはるかに重要です。21世紀前半の最重要キーワードのAIですから、21世紀なりの対策を施さないとですね!

もちろん、全員が同じ条件下での受験です。時間に制約が無ければ皆が検索エンジンを駆使してほとんど正解となり、合否の判定ができません。そこは6~7割前後が合格する相対基準試験。何らかの足かせを付けて、順位付けをしないといけない。

ちなみに6~7割が合格すると言ってもなめてはいけないと思っています。まず、2020年前半の段階で、AIに関心を持ってG検定や東大松尾研などを知り、土曜をつぶしてG検定を受けようと考える人間の母集団は、たいがい意識高い系のお勉強好き。運転免許とはレベルが違います。

G検定の場合、合否を決める順位付けの為の足かせは、時間です。220問を120分で解かなければならない。1問30秒ちょいで解く計算です。4択問題で、問題文と回答の選択肢をすこし吟味していると、あっという間の30秒。検索している時間などありません。Google窓にキーワードを入れて検索キーワードを打ち込み、エンターを押して、検索結果の一番上をクリック、そのページから適切な回答にたどり着くまでに15秒かかるものなら、残りの時間は15秒です。脆弱なWEBサーバーのサイトなら、G検定での同時アクセスに耐えられずレスポンススピードが遅くなる可能性があります。もうめちゃくちゃイライラします。(笑)

この条件下での戦いに勝ち残るとなると、とにかく検索準備です。キーワードを全部覚えてはいないまでも、即時に検索できる条件下においておくこと。

すなわち、調べたすべてのサイトの文章をコピーして、WORDに貼り付けておくことです。G検定対策のホームページも世には百花繚乱の状態でたくさんあります。それらのサイトで調べた内容は、片っ端からWORDにコピペして回ります。

お薦めは、このあたりのサイトのリンク先なんかはいかがでしょうか。

https://qiita.com/Ringa_hyj/items/88691e738bb36bc3dabf

とにかくわからない単語を調べたら、コピペでWORDに貼り付けてください。自分なりのコピペ単語集を作るのです。個人として使う分には著作権は関係ありません。

WORDの検索スピードはなめたものではありません。少なくとも受験中にGoogleを調べる時間を極力減らすために、Google以外の検索対象の拡充をしておくことをお勧めします。

もう一つ、AI白書の内容も法律やグローバルトレンドを中心に数多く出ます。これらは白本・黒本ではほとんどカバーされておらず、白書とGoogle、あとは日ごろの情報収集頼みになります。例えばEUのGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)の問題などが今回出ましたが、これらは時事ネタなので、日々の研鑽か、検索エンジン以外に事実を知る方法はありません。そんな時にAI白書が検索可能の状態にあればどれほど有利に働くか、想像に難くないですね。なので、そのためにKindleか、検索可能なPDFの状態でスタンバイしておくようにしましょう。

パソコンは出来れば、2台+タブレットの態勢が良いでしょう。問題を解くPCと検索用PC、そして白書検索用タブレットで万全です。あとは、勉強した白本黒本が手に届くところにあればOK。書籍の中の場所までわかっているような用語をド忘れした場合には、やはり書籍が一番ですからね。

 

試験当日は水分禁止

自宅で受験できるからと言ってのんびり構えていてはいけません。前述の通り、とにかく時間が足りないので、白本黒本で覚えている内容は瞬殺回答、WORD内にありそうなものは即検索、時事ネタは白書、それでもダメならGoogleです。トイレも行かず、水も飲まず、ひたすら集中の2時間でしたが、私はそれでも5問回答できませんでした。WEB試験の仕様に、解答を後で再確認するためのチェックボックスがありますが、これはムダ。戻る時間などほとんどないと思った方が良いです。すべての問題を一期一会の気持ちで解くことをお勧めします。計算問題はどんどん飛ばしていきましょう。文系諸氏が30秒で解ける計算問題は出ていないと思った方が良いと思います。

あとの対策としては、パソコンのブラインドタッチでしょうか。真面目に。昔、営業界隈ではパソコンを叩くのが早いセールスは信用できないという神話がありました。パソコンを叩いている暇があれば、客先に行けという意味のメタファーなのですが、今はそんな時代ではないですよね。ただ、パソコンを打つスピードで試験結果は変わると思います。検索力が大きく違ってきますから。

合格するだけのテクニックってむなしいよね

そう思われる方もいるかもしれません。私は合格こそしましたが、いまだディープラーニングが何かと問われても、本質的な回答が出来る人間ではないのです。そういう意味では単に形式的に試験に受かっただけの人間であり、上述のテクニックはむなしいものです。でも、すべての知識は検索で答えを導ける現代、用語の意味を理解し暗記することより、与えられた条件下での最善の準備を行うことと、合理的に回答に辿り着く方法論を考えだすことの方が重要だと私は考えます。

G検定の合格により、学びのスタートラインには立てたのではないかと思います。ここからAIに関する様々な分野の方々にインタビューをする機会を得られるでしょうし、カラーバス効果のようにAIに関する情報への感度がどんどん上がっていくでしょう。AI×専門の新規事業や法人マーケティングに関するお仕事の機会を頂けるかもしれません。先人との出会いもあるでしょう。そしたら、また必死で勉強してその立場にふさわしい自分でいるように努力すればよいのです。

それこそが、私がG検定を取得した理由です。

 

以上、文系君の為のG検定攻略講座でした。一人でも多くの悩める文系ビジネスパーソンが、気たるべき未来に向けて、ご自身をDX(デジタルトランスフォーメーション)されることを期して、本稿を終えたいと思います。まずは、合格を!

株式会社リアルコネクト 代表取締役/中小企業診断士 小倉 正嗣