【第11講座】【スポットコラム】『年功序列型賃金制度と成果主義賃金制度』


2013年09月04日 (水) default

成果主義報酬の是非について様々な議論があるのは承知しているが、やはり私の個人的な意見としては年功序列賃金制度よりは成果主義報酬制度の方が日本の企業活動においてはより合理的であると判断する。その理由としては以下の2点となる。

①成果と給与が結びつかないと、優秀且つ野心的な人材が外資系企業に流れてしまう。

まだまだ道半ばとは言え、高度経済成長期と比べ終身雇用の制度は弱体化している。昨今の学生たちが就職苦から派生して会社にしがみつくことを是としているとは様々な媒体で目にするが、それでも以前よりは弱まっている。それは、従業員側も同じで終身雇用されようと思う気持ちも同時に薄まっている。

いささか古い議論ではあるが、マルクス経済学でいうところの支配階級による労働者層の支配は崩れてはいるものの、会社で勤め上げるという選択肢は労働者階級からの脱却を放棄していることに他ならない。自らの意思で前近代的な社会制度の階層にとどまることを選択していると言える。
せっかく少なからず階級間の移動の自由が与えられている現代において、優秀な人材が野心を持ち、自らを磨き、労働者階級からの脱却を目論むのは自然の流れと言えるだろう。

そう考えると、少しでも早く経験を積み、多くの収入を得たいという思いが行動に変化するのは想像に難くない。しかし日本の終身雇用制度は、このような思いと正反対のベクトルを持っていると言わざるを得ない。
上記のような背景の中、優秀な人材は相当量外資系企業に流れてしまっている。老年になってからの還元を待つのではなく、若い段階から多くの賃金を出来高払いから得ることができるからである。

もう一つの問題は、いったん外資系企業に出てしまうと今度は日本企業に戻ることができないことだ。
特にレガシーな日本企業が中途採用者を積極採用することは稀である。たとえ採用しても、いわゆるプロパーの社員と同等かそれ以上に扱うことはない。賃金に関しても周りとのバランスを考えて決めあぐねるケースが多いだろう。
このような状況を鑑みるに、日本の企業は人材輩出機関と見るケースも多いようだ。初期教育を施した人材を世に放出しているだけで、うまくしがみつく人材のみが定年を迎えると言った構造が弱体化を招いているように感じる。
外資系企業が日本進出後早期の段階で、日本の市場シェアをひっくり返すというのはよくある話で、これは人材の外資系への流出が根底を流れる一因なのではないかと考える次第である。

②企業業績と賃金が連動しない仕組みだと経営者と従業員が同じベクトルを向かない。

まず本論の前提として、私は労働組合のある企業に属したことがない。あえて労働組合がない会社を選んで就職をしたわけではないが、その時々に時流に乗っているあるいは条件の良い企業を選んだ結果としてそうなった。しかし、現代の企業内労働組合は無駄なので即刻廃止すべきと考えている。少なくとも労働組合に使う時間があるならば、一円でも多くの付加価値を世に提供することを考えたほうが企業活動として合理的であると判断する。

考えるに企業内労働組合の主な活動は、企業業績が右肩上がりであることが前提となっているように思う。確かに経営者の暴走を止める機能は必要なのだろうが、現代においては株主重視の経営が一般化されており労働分配率の高低による労働者の定着率の悪さに関しては一定の監視機能が働いている。経営者が自浄作用をもてないのであればユニオンに所属するという選択肢もあるが、私はシンプルにその会社を辞めるという選択肢をとるのが自然であると考える。

会社と交渉することにより労働条件を勝ち取ろうという考え方そもそもが終身雇用制度を前提としており、職業選択の自由が得られている現代においては辞めて転職すればよいのではないだろうか。
私は、常に日本における労働力の流動性の低さを問題視しているが、ここでも労働が流動化していけば自然に悪徳な経営者の元には人材が集まらないことにより市場原理により淘汰されると考える。
春闘などで、ベアを争うなどという出来レースの労働争議ごっこは本当に無駄である。既存の大企業の国際競争力が相対的に低下し、企業業績が右肩下がりになり、どのように世界と戦うかを考えなければならない現代において、企業業績と連動しないベア闘争などはまさに笑止である。

労働力の流動化、国際競争、日本の国際競争力の低下などすでに止められない流れが目の前に来ている。
労働力を流動化し、労働者は常にエンプロイアビリティの向上に真摯に立ち向かい、その中で自然の摂理としておろかな経営陣が淘汰され、優秀な人材は多くの労働分配を行える優秀な経営者の下に集う、あるいは自分が経営者になるという流れを作ることが「人材と賃金」という観点から見た国際競争力の向上の方策であると考える。