【第18講座】間接材コスト削減の絶対法則(前編)


2013年09月24日 (火) fusen

私は、営業組織改革のコンサルタントであると同時に間接材購買コスト削減のコンサルタントでもある。当然、どちらの経験もあるから双方のコンサルタントを標榜しているのであるが、上場企業出身者で営業と購買のどちらも経験がある人物にはほとんどお目にかかったことがない。企業の内部のジョブローテーションの観点から見ると、営業と購買はよほどかけ離れているものらしい。

しかし考えてみて欲しい。営業と購買は企業間のコンタクトポイントとしては一番接触頻度が高く、双方が親しくなれば少なからずお互いの仕事や悩みなどの意見交換をする関係である。少なくとも、お互いの職務はある程度ざっくりと理解をしているはずだ。これほど親和性の高い仕事であるにもかかわらず、同じ社内では双方がコミュニケーションを取ることは多くないのだから実に残念である。

もちろん、違いもある。営業部門と管理部門という枠組みで捉えるならばその性質は当然大きく異なる。ざっくりと営業は売上アップという命題を追いかけ、購買はコスト削減という命題を追いかける。売上アップは、極論を言うとほぼ無限に上げることのできる存在であるが、コスト削減は購買金額を分母とするしか無い。売上アップには限界はないが、コスト削減には限界がある。

だからといって購買の仕事が楽な仕事かというと決してそうではない。売上アップは営業の力だけではなく、全社の組織力によるところが大きいのだが、購買コスト削減は、そのほとんどのケースで購買部門が一手に引き受けているケースが多い。目指すところはコスト削減だけというシンプルなものだけではない。コスト削減とトレードオフになる、商品の質の向上、デリバリーのスピード、欠品の回避などと同時に取り組まなければならない。トレードオフであるという言い訳は通用しないケースが多い。

しかもサービスの相手が社内になる。顧客を相手にする営業よりも、社内を相手にする購買のほうが明らかにストレスが多いだろう。営業マン100人に聞いてみたらわかる。顧客と社内どちらの相手をするほうが好きか?と。

管理部門で財務諸表にヒットする数字を目標とする部門は購買部の他には殆ど無い。財務で運用を行っているごく一部の人以外にはいないと言っても過言ではないだろう。そういう意味では、購買部は管理部門の中で数少ないプロフィットセンターである。

 

さて、その購買の仕事。私は営業の仕事をひと通り固めてから会社の要望により、購買アウトソーシング・購買コンサルティングという仕事についた。購買アウトソーシングを営業する、すなわち「購買の営業」という一風変わった仕事にも携わらせて頂いた。

購買にも様々な物品の購買を行う人々がいる。航空機や発電プラント、生産ロボットといった設備を買う人、自動車のパーツや粗鉄・銑鉄などの材料を買う人、事務用品・消耗品・通信費などの間接材・サービスなどを買う人、それぞれ随分とアクションが異なる。

私は、大企業における間接材・サービス材などの購買を行う部隊のお手伝いをさせて頂くことになった。

元々が営業を10年ほどやってきた人間ゆえ、購買の仕事となると当初は右も左もわからなかったのが本音のところではあったが、いざやってみると上記の通り非常に親和性が高い。サプライヤーの営業に、営業を受けるのであるが面白いように考えていることがわかるのだ。当り前といえば当り前だが、営業部門のバックヤードにある仕組みなどそれほど多くのパターンがあるわけではなく、営業が持っているニーズや条件、ステイクホルダーや悩み事などが手に取るようにわかる。特に私の場合は、その時点で3社の営業や営業マネジメントを経験していたので、大体はどこかのパターンを応用すればサプライヤーニーズの仮説を立てるなどたやすいことであった。

 

随分と前の話になるが、サッカーの日本代表に井原選手というディフェンダーがいた。彼は、元々はエースの点取り屋だったのだが、選手人生のある時点でディフェンダーに転向している。点取り屋として、果たして日本代表に入れる選手となれたかどうかは知る由もない。しかし、少なくともディフェンダーとして超一流になれたのは、元点取り屋ゆえに点取り屋の思考回路がわかるからこそ、数多くの攻撃を止めることが出来たからに他ならない。そのような内容のインタビューを読んだことがある。

元ピッチャーで大打者になった、(当時の)王選手、イチロー選手、元銀行員で金を借りるのがうまいコンサルタントなども、反対職種からの転向により成功した事例だ。

現在フジテレビでやっている「ほこ☓たて」という番組。相矛盾する最強の存在のどちらが強いかを競うという趣旨の番組であるが、出演者の中に元々相手側の世界にいたという人がたまに見られることも実に面白い。

相手を攻略するために、相手のことを研究し尽くすということは、戦略の世界の常套手段であることは言うまでもない。そのための最良の手段は、相手の世界に飛び込んでみるというのも一考する価値のあることではないだろうか。

 

さて、話題がそれた。
営業マンが購買の仕事をお手伝いするようになり、もう一つ営業マンとしてのリテラシーが役に立った点がある。それは、営業としてのコミュニケーション力である。購買の現場がこれほどまでにコミュニケーションを要するとは思っていなかった。

通常、お客様を相手にコミュニケーションを取るのが営業の仕事であるのだが、購買の仕事においては社内の人たちがお客様に変わるのである。元々お客様に対して説明や交渉をしていたわけだから、社内に対しての説明は相手が行間を読んでくれるので非常にスムーズに進められた。

しかし、会社内には色々な方がいる。お客様が法人の場合、相手も会社を背負っているので、一定のラインを超えて失礼な方というのはほとんど存在しない。しかし社内となると遠慮がなくなる人がこうも多いものなのか?この点は驚きであったと言わざるを得ない。

 

次回、これらの体験を深堀りし、営業出身者かつ間接材購買コンサルタントの視点で間接材購買の本質に迫っていくことにする。

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