【第20講座】間接材コスト削減の絶対法則(後編)


2013年10月09日 (水) fusen

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もう一つの絶対法則。それは買わないということ。

何じゃそりゃと言わずに是非読み進めて頂きたい。
直接材の場合は、買わないと製品が作れない、あるいはサービスが提供できないという状況になるので買わないという選択肢は無いが、主に販売費・一般管理費で計上される間接材は、究極には買わないでも製品の生産やサービスの提供にはさしたる影響はない。
例えば、自宅前の露天で絵画を売るという商売の場合、販促費・広告費は必要ないし、地代家賃も発生しない。絵筆などは製造原価に回るため間接材ではないし、交通費なども発生しない。この場合は、間接材購入コストはほとんどゼロだ。

もちろんこれは極端な例であって、一般的な企業ではありえないことは承知しているが、実際某大手企業の役員の方とお話していた際に「間接材はいかに安く買うかではなく、買わないことがベストの選択である」という旨の発言があり、我が意を得たりと考えたものである。

事実、私が在籍した会社の一社に、事務用品は全て自腹という企業があった。もちろん事務所で保管すべき法定書類のファイルなどは支給されたが、営業個人で業務に使う物品は全て自腹で買うことが原則になっていたのだ。
本来あるべき姿かどうかはさておき、最も合理的なコスト削減方法と言えるだろう。社員はそれがアタリマエだと思っており、未だに自腹なのではないかと予想している。

とはいえ、実際のビジネスの場では広告を打たなければ商品の認知はされず、物流経費がなければ商品を届けられない。パソコンやプリンターなどのIT機器はビジネスマンで使わないという選択肢はない状況だ。

買わなければならない物は仕方がない。当然安く買う方法を模索することも必要だろう。ただ、それ以上に「買わない方法は無いだろうか?」という視点で常に購買に接することが間接材のコスト削減には最も有効なことだと考える。

例えば、利用していない従業員に貸与している通信端末の基本料金、SKYPEで事足りる国内・海外出張、利用者がほとんどいない福利厚生プラン、誰も読まない定期購読雑誌の料金、既に社内での役割を終えたソフトウェアのライセンス料金など、まず買わないことを検討すべき物は多い。

特に気をつけたいのは、クラウド型のサービスの定額課金である。現代にもてはやされるビジネスモデルの多くは、ストック型ビジネスモデルと言われる、使っても使わなくても定額で課金されるスタイルを取っていることが多い。いわば携帯電話の基本料金のようなものである。
特にIT系のサービスは、一度契約すると毎月課金され、担当変更が行われている中で忘れ去られ、誰にも認識されない中ズルズルと支払いが行われているものもあると聞く。
もちろんクラウドサービスがここまで時代の寵児的な扱いを受けるには当然理由がある。様々な要因はあるが、固定資産を減価償却するのではなく、サービス利用料金を費用化して経費計上するほうがファイナンスの視点で考えるとコントロールしやすい側面がある点などが代表的なものだろう。
ただ、誰かがキッチリと契約や購買について管理しないと、自社で固定資産として保持した場合よりも高コストになることもあるので注意が必要だ。

従ってまずは、経理処理のデータとにらめっこし、本当に買わなければならないものなのかをきちんと見極めるという作業を行いたいところである。

関節資材購買のコンサルティングを行うからには、筆者も多くの経験と研究を重ねている。
もちろん、電子購買やマーケットプレイス、リバースオークションなどのコスト削減ツールについてもそれなりの見解を持っている。

しかし、間接材の購買コスト削減を行うに際しては、ツールありきの検討ではなく、まず①「買わない方法を考える」、②「買うならば、社内で買うものを統一して、数をまとめて、交渉する」、この当たり前の二つの要素をキッチリと検討できているかを自らに問うて頂きたい。

近年は、システム技術の発展により購買システムも百花繚乱の様相を呈している。その為、購買システムを導入しさえすれば半自動的にコストが下がって行くことを夢見て、システム比較に励んでいる企業は多い。

もちろん、購買の集中化や見える化のためにツールを導入することについては反対はしない。しかし、ツールありきでコスト削減に着手する姿勢には同意しかねる。

あくまでも間接材購買の基本は、できる限り買わない、買うなら散発で買わずまとめ買いするという、個人で行うところの「コストコでのまとめ買い」と同様の理論で行うべきであることを、ゆめゆめ忘れてはならないのである。

その為にも、間接資材購買の担当者は営業マインドを持って、社内にいる数多の発注担当者と密なコミュニケーションを取らなければならない。そして自らが選定した理由や想い、メリットを伝えると同時に、使用する現場の理解と最大限の配慮を励行するならば、間接材購買のコスト削減の成功確率は極めて高いと言えるだろう。是非担当者は研鑽されたい。

もし、社内リソースでは推進が難しいと感じられた場合、ご連絡をお待ちしている。(笑)

(完)

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