【第32講座】法人営業の戦略設計図の描き方-第1回「マーケット全体を捉えられているか?」


2017年04月11日 (火) shinbashi

『貴社営業部門はマーケット全体を捉えられていますか?』

法人向けアカウント営業の設計図を描くに際して、重要であるにも関わらず最も抜けているのがマーケット全体を見る目線です。何故ならば、法人向けに営業活動を行っている企業は、営業重視でマーケティング部門がないケースが多いからです。個別企業の攻略を考える前に、まず市場全体を俯瞰的に捉える必要があります。

マーケット全体の「見える化」に取り組んでいますか?

法人間取引の特徴は、ある程度数の限られたお客様と比較的長期安定的な取引を行う点にあります。従って、繰り返し取引がある企業には営業部門による手厚いフォローが行われています。その反面、マーケット全体を俯瞰的に捉え「見える化」する活動は、個別企業へのアクションに比べておざなりになっているケースが多くあります。

もちろん、業種によっては極めて専門性の高い製品で特定の顧客への営業活動を行っている企業もあるでしょう。しかしながら、法人向けにアカウント営業を行っている企業の多くは広範な市場に対して営業活動を行っています。大きな開拓の余地が存在する市場をターゲットにしているならば、市場全体を俯瞰的に把握して営業戦略を立てなければなりません。ただ、多くの法人営業を行っている企業においては、営業部門が近視眼的な営業活動を行い、市場全体の「見える化」が出来ていない様に感じています。貴社には、マーケットを俯瞰的に捉え、戦略を立てる担当部門はありますか?

 最初に顧客マトリックスで市場の見える化に取り組むべし

市場全体の見える化に際し、最初に行うべきことは自社のターゲット市場の定義です。産業分類、エリア、企業規模などでターゲットとする市場を特定していきます。
その上で必要なのが、ターゲット市場における見込顧客を含む顧客の分布の「見える化」です。この際の私のおすすめは、顧客の購入規模と顧客内の自社商品のシェアで3☓3程度のマトリックスを作成する方法です。(図1)

〈図1:見える化マトリックス〉

Figure 1

 

第1の軸は購買規模の大きさです。購買予算の規模は一般的に売上か従業員のどちらかの規模に比例しますので、自社の市場に則した運用を考えて下さい。購買規模によって相対的に大中小の3つ程度に分類します。第2の軸は自社商品の顧客内シェアの多寡です。自社商品の顧客内のシェアをこちらも大中小のように分類します。顧客の社内シェアを正確に捉えることは難しいのですが、最初は売上高と購買履歴金額から類推し、営業担当者が地道に自社商品の購買予算や競合の比率を聞き出すなどして、マトリックスの精度を高めていきましょう。

このように、見込顧客も含めたターゲット顧客をこの市場マトリックスにマッピングすることで市場の「見える化」が可能となります。「見える化」することでマトリックスのゾーンごとに戦略を細分化して策定し、各営業担当者に戦略的な指示出しも可能です。例えばシェアの大きな中小企業やシェアの小さな大企業など、攻略方法の異なる企業への最適な訪問頻度、提案内容、キャンペーンなどを会社の方針として打ち出せるようになります。特に、1・4・7のゾーンに一度も取引のない企業や、過去に負けた企業を積極的に加えていくことがポイントです。

この様に、市場を俯瞰したマトリックスを戦略の設計図を描くキャンパス、すなわちターゲット市場全体を把握する戦略マップとして管理運用することが戦略設計図作りの必須のアクションになります。

 

【本記事はSBIビジネス・ソリューションズ社が発行する機関誌「会社の知恵袋」2016年12月-2017年3月の代表小倉の連載記事に加筆修正を行った内容です。】