【第33講座】法人営業の戦略設計図の描き方-第2回「顧客企業の『徹底研究』と『ニーズの把握』」


2017年04月12日 (水) yokohama

 『顧客企業の「徹底研究」と「ニーズの把握」は出来ていますか?』

連載第1回目のマトリックスの作成で市場全体を捉えた後には、個別の顧客企業へと目を向けていきます。顧客の置かれている状況をマクロ・ミクロの側面から把握し、可能な限り顧客の内部の情報を調べた上で最適なヒアリングを行い、顧客ニーズに対してしっかり仮説を立てる必要があります。顧客の戦略を理解し寄り添う高度な営業の考え方を紹介します。

企業の購買理由は「ほぼ」決まっている

企業が何かを購入する理由、それは何をおいても経営目標の達成のためです。経営目標は様々な指標で表されますが、大きくは経営の理念やビジョン、中位だと中長期の経営計画、短期的には今期の売上目標や市場シェアという形になっています。企業は、この経営目標の達成のために日々事業を推進しているのですが、達成は困難を伴うケースが多いものです。中には経営者の極めて高い志に根ざした経営目標が未達の原因であることもありますが、多くが企業を取り囲む環境の変化から派生しています。例えば、政治や景気の動向といったマクロ環境、顧客の変化ならびに競合他社や代替品の出現といったミクロ環境の変化が目標未達の主原因です。

そこで、企業はそれらの環境変化に対応するために、自社の内部資源を強化しようとします。この強化こそが購買理由なのです。ある企業では、広告のコストをかけて競合優位性を構築するかもしれませんし、ある企業では、効率化の為のIT導入を検討するかもしれません。企業は環境変化への対応に、最適な内部資源を入手するというニーズ(必要性)のために購買という行為を行うのです。

顧客の経営全体から問題を紐解く

企業の購買が経営目標の達成の為とするならば、営業の仕事は、顧客企業を取り巻く環境変化の情報をしっかりと入手し、その変化への最適な対応を自社の商品によって実現する提案を行うことになります。言い換えると経営目標の達成のお手伝いとも言えます。従って、PEST分析や3C分析といった定番の環境分析フレームワーク等を活用して、顧客企業を取り巻く環境要因を常に整理しておくこと、そして、現在顧客が所持しているヒト・モノ・カネ等の内部資源を出来る限り把握し、環境変化への対応に足りない資源について仮説を立てておくことが必要です。その上で自社の商品が、顧客企業の環境変化への対応に、どの様に役立つのかという点を提案として事前に作り込んでいくのです。

特におすすめのフレームワークは、W3C分析です。(図1)法人顧客に特化した考え方で、定番の3C分析の上に3C分析を乗せる形を取り、「顧客の顧客」及び「顧客の競合」の視点を加えます。顧客はその顧客の攻略を欲し、顧客はその競合に対し勝利を欲するという考えに基づき、顧客の業界全体を理解し、提案活動に活かすという考え方です。是非社内の営業担当全員が、これらの考え方を理解した上で提案を行う組織を目指して下さい。

〈図1:W3C分析〉

W3C

法人顧客内の個人の欲望こそがやっかいだ

先程、企業の購買理由は「ほぼ」決まっていると述べました。「ほぼ」と書いた理由は、購買の理由に、ニーズではない企業内個人の欲望という存在があるからです。これが企業の購買を厄介にしています。基本的に企業内の個人も大義名分として、環境変化に対応するというニーズに基づく活動を行います。が、時に個人の欲望が見え隠れします。

例えば、企業の購買が実は担当個人の昇進や愉悦などに繋がっていることはよくある話です。ただ、現代の厳しい購買コンプライアンスの下では、その感情は奥深くに隠されています。ここを捉えることが、顧客企業との人間関係づくりの肝になります。従って、営業担当者は、企業としての環境変化や内部資源の把握と同時に、購買に関わる人達の欲望の充足という視点も常に持って、情報を収集しなければならないのです。

 

【本記事はSBIビジネス・ソリューションズ社が発行する機関誌「会社の知恵袋」2016年12月-2017年3月の代表小倉の連載記事に加筆修正を行った内容です。】